緊急座談会

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刑事手続IT化はどこに向かうのか(中)

久保有希子・田岡直博・山本了宣・水谷恭史(司会)


5 オンライン接見の必要性

水谷 特に県域が広い地方ではオンラインによる柔軟な手続の導入が強く求められていて、オンライン接見の実現を求める会長声明が各単位会から出ています。ところが、今のところ法制審の取りまとめたたき台には取り上げられてはいません。オンライン接見について、法制審でどのような議論がなされ、なぜ取りまとめたたき台に明示的なテーマとして取り上げられていないのか。久保さん、この点も含めて議論状況を教えていただけるでしょうか。

久保 オンライン接見については、制度として法律に規定するべきではないかという意見を部会で申し上げました。前提として、そもそも法律上オンラインでの接見が禁止されているわけではないので、現行法でもオンラインによる接見自体はできるはずです。実際、「現行法でもオンライン取調べは禁止されていないからオンライン取調べはできる」という意見が法制審でも述べられていますので、オンライン接見にもそのまま妥当するはずです。
 とはいえ、オンライン接見を実現しようとしたときに、機器の面で予算が必要になりますし、秘密性をどう担保するのかという問題は生じてきますので、法律に規定したほうが明確になるのではないかという観点で、意見を述べてまいりました。
 しかしながら、この点について、ニーズ自体に疑問の意見が述べられたほか、弊害があるのではないかという指摘がありました。例えば、証拠開示をオンラインにして被告人が見られるようにするという件で述べられたのと同じように、タブレットで自傷他害の……

(2024年05月15日公開)


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