緊急座談会

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刑事手続IT化はどこに向かうのか(上)

久保有希子・田岡直博・山本了宣・水谷恭史(司会)


 「令状請求のオンライン化」「オンライン接見」こういったフレーズを目にする機会は増えているように思います。現在、法務省で刑事手続のIT化が議論されていることを、どこかでお聞きになったことがある方は多いのではないでしょうか。

 ただ、その議論が具体的にどのような段階にあるのか、何がどのようにIT化されるのか、刑事弁護実務への影響として何が懸念されているかについて、議論を追いかけている方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います。

 刑事手続IT化の議論ですが、2020年7月17日の閣議決定を機に、2021年3月に法務省が「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」を設置したことをきっかけに始まり、2022年3月には取りまとめが公表されています。

 2022年7月からは法制審議会刑事法(情報通信技術関係)部会(以下「法制審」)での議論がはじまり、2023年12月18日には、法制審が「刑事手続への情報通信技術(Information and CommunicationTechnology:ICT)の導入に関する要綱(骨子)案(以下「要綱案」)を決定しました 。要綱案が示すテーマは、訴訟関係書類や証拠開示の電子化、オンラインでの令状発付等、捜査機関や裁判所の手続効率化を図る部分が際立っています。実際に、日弁連は要綱案に対し「国民の権利利益の保護・実現のために必要な制度を設けないものとする一方で、専ら捜査機関の便宜のための制度を羅列し、プライバシーの権利を始めとする憲法上の権利を保護する仕組みを欠く内容であって、検討会において確認された基本的認識に反すると評価せざるを得ないものである。」と批判する会長声明(……

(2024年05月13日公開)


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