先端的弁護による冤罪防止プロジェクト(以下、「当プロジェクト」といいます。)は、2022年8月に発足しました。
当プロジェクトは、我が国の刑事司法の現状を打破するために「先端的弁護活動」の実践と普及を行うことで、冤罪防止を実現することを主な目的としています。
⬛︎2 先端的弁護とはまず、この記事をご覧いただいている皆様においては、そもそも「先端的弁護」とは何か、という点について疑問をお持ちの方もたくさんおられることと思います。
当プロジェクトでは、発足前の段階から、我が国の刑事司法の絶望的とさえ言われる状況を憂い、その現状に一石を投じるためにできることは何かを検討してきました。その結果、現状の打破に必要不可欠なものがこの「先端的弁護」であるとの結論に達しました。
「先端的弁護」とは、刑事司法における弁護人の役割が被疑者・被告人の権利擁護の貫徹にあることを明確に意識した上でなされる、防御権及び弁護権を積極的に行使し、検察官の設定した枠組みにとらわれない主張や科学的な立証に努め、高度な弁護技術を駆使する、徹底的な弁護活動のことをいいます。
もちろん刑事弁護に携わる多くの弁護士が、被疑者・被告人のために活動していることは十分承知していますが、当プロジェクトは、権利擁護の「貫徹」と「徹底的」な弁護活動が十分浸透しているかについてやや懐疑的な印象をもっています。弁護士も一人の人間ですから、自らの弁護活動に裁判所から疑義を呈されたり、検察官から強い抵抗を受けたりした場合に、それを貫徹し徹底することは容……
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(2023年02月08日公開)