東京TSネット・コラム一緒に考える<障害のある人の刑事弁護>

一緒に考える〈障害のある人の刑事弁護〉第4回

捜査段階と「合理的配慮」 (その2)

長谷川 翼 弁護士


1 はじめに

 前回のコラムでは、捜査段階で、障害のある人に対してどのような「合理的配慮」が必要とされるのか、特に、処遇における「合理的配慮」について触れました。

 そこで、今回は、接見における「合理的配慮」について考えてみたいと思います。なお、今回も、特に知的障害・発達障害・精神障害を持つ人を念頭において考えていきます。

2 接見における「合理的配慮」

 障害のある人の特性については、前回のコラムで簡単に説明しました。このような特性を持つご本人と私たち弁護人が接見をするときには、どのような合理的配慮が必要になるでしょうか。

3 接見スケジュールへの配慮

⑴ 短時間の接見を多数回行う
 障害のない人と比べて、障害のある人は、長時間、集中力を持続させることが難しいことが多くあります。そのため、1回の接見で長時間のやり取りを行うと、集中力が続かず、やりとりの内容を十分に理解できなかったり、不正確な事実の聞き取りになってしまうおそれがあります。そのため接見をする際には、長時間の接見を1回行うのではなく、短い接見を多数回積み重ねるように接見スケジュールを組む等の工夫が必要になります。

⑵ 夜間の接見を避ける
 障害のある人の中には、就寝前に睡眠導入剤等を服用している方も多くいます。そして、夜間に接見をした場合には、薬の影響から、眠気が強く、コミュニケーションが困難なこともあります。そのため、本人の服薬状況を把握し、接見をする際には、服薬後の時間帯を避ける等の配慮が必要……

(2023年02月06日公開)


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