1 DNA型データ等の抹消訴訟の経緯
—— 2019年6月、名古屋市内に住む女性(保育士)が、愛知県警の警察官によって採取された自己のDNA型データ等の抹消と、データ等の保管が情報自己決定権を侵害し、精神的苦痛を受けたとして、国に対して損害賠償を求めて、名古屋地裁に訴訟をおこされました。川口さんはその女性の代理人をしていますが、はじめにその訴訟にいたった経緯をお聞きかせください。
川口 事件自体は2014(平成26)年ですから結構前のことです。訴えをおこした女性はボランティアでイヌやネコが殺処分されないよう、里親募集の活動をしていました。
その年の5月に「きくちゃん」と名付けられた犬が新しい里親に引き渡される際に、逃げてしまいました。そこで、ほかの協力者2名と合計3人で、名古屋市の瑞穂区や隣接の南区を中心に犬を探すためのチラシを電柱に貼りました。しかし、なかなか見つからなかったので、6月16日から18……
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(2021年03月05日公開)